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コラム

2026/09/28

AIカウンセリングと人間のカウンセリングは何が違う?ChatGPTで相談するメリットと限界

岡村 優希

執筆・監修者:

岡村優希(YUUKI OKAMURA)

近年、ChatGPTをはじめとした生成AIに悩みを相談する人が増えています。

「カウンセラーのように話を聞いてください」

と入力すれば、AIはかなり丁寧に話を聞いてくれます。

しかも24時間利用でき、返事もすぐに返ってくる。

場合によっては、

「人間のカウンセラーより話しやすい」
「AIの方が自分のことを分かってくれる」

と感じる方もいるかもしれません。

では、AIによる悩み相談と、人間によるカウンセリングにはどのような違いがあるのでしょうか。

今回は、生成AIに悩みを相談するメリットと現在の限界、そしてこれから人間のカウンセラーに求められることについて考えてみます。

この記事でいう「AIカウンセリング」とは?

最初に、一つ整理しておきたいことがあります。

この記事では検索上わかりやすくするため「AIカウンセリング」という言葉を使っていますが、ChatGPTなどの生成AIそのものが、専門的な心理カウンセリングや医療を提供しているという意味ではありません。

ここでいう「AIカウンセリング」とは、

といった、生成AIを相談相手として利用する行為を便宜的にそう呼んでいます。

実際の心理カウンセリングは、専門家との関係性や評価、支援計画などを含むものです。

そのため、AIへの悩み相談と専門家によるカウンセリングは、厳密には同じものではありません。

ただ、利用する側からすると「AIにカウンセリングのような相談をしている」という感覚になることも多いため、今回はその違いについて考えていきます。

AIに悩みを相談するメリット

1.すぐに相談できる

AIの大きなメリットは、なんといっても反応の速さです。

カウンセリングの場合、予約を取り、決められた時間に相談する必要があります。

一方、AIであれば深夜でも早朝でも、思いついた瞬間に相談できます。

「今ちょっと誰かに聞いてほしい」

というときには、とても便利な存在です。

2.かなり共感的に話を聞いてくれる

現在の生成AIは、基本的に非常に共感的です。

悩みを書き込めば、

「それはつらかったですね」
「そのように感じるのも自然だと思います」

といった形で返答してくれることがあります。

そのため、

といったニーズとは非常に相性が良いと思います。

3.過去のやり取りを踏まえて相談できる場合がある

利用しているAIの機能や設定などにもよりますが、継続的なやり取りを踏まえて返答してくれる場合もあります。

そのため、

「自分がどんなことで悩みやすいのか」
「これまでどんなことを話してきたのか」

を踏まえたような返答が得られることもあります。

場合によっては、人間に一から説明するより、

「AIの方が自分のことを知ってくれている」

と感じる人もいるでしょう。

一方で、AIへの相談には弱点もある

AIは非常に便利ですが、人間のカウンセリングとまったく同じかというと、現時点では違いがあります。

その一つが、人間のように状況を総合的に判断することの難しさです。

AIは相談者の意見に引っ張られやすいことがある

AIに相談していると感じることの一つに、少し「相談者寄り」になりやすいという特徴があります。

例えば、

「上司にこんなことを言われました。ひどくないですか?」

と相談した場合、基本的には相談者から提供された情報をもとに回答します。

当然、上司側から見た状況や、その場にいた第三者の視点まで完全に把握しているわけではありません。

そのため、相談者の視点に寄った返答になることがあります。

もちろん、

「私の意見を鵜呑みにせず、違うと思ったら指摘してください」

とAIにあらかじめ伝えることもできます。

ところが今度は、その指示に沿おうとするあまり、

ただ共感してほしい場面でも、

「お気持ちは分かります。ただ、別の見方もあるのではないでしょうか」

といった方向に返答が寄ることもあります。

人間であれば、

「今日はかなり疲れていそうだから、まず話を聞こう」
「今は指摘するタイミングではなさそうだ」
「今日は少し踏み込んで伝えてみよう」

と、その人の状態やこれまでの関係性を見ながら対応を変えます。

このような**“今この瞬間に何が必要なのか”を細かく調整すること**は、人間のカウンセリングの大きな特徴です。

AIは非言語情報を十分に把握できないことがある

カウンセリングでは、実際に話されている言葉だけを聞いているわけではありません。

例えば、

など、さまざまな情報を見ながらやり取りしています。

「大丈夫です」

と言っていても、

本当に大丈夫そうなのか。

無理をしてそう言っているのか。

何か言いたいことを飲み込んでいるのか。

同じ言葉でも、その意味は大きく違います。

AIも音声や画像など、扱える情報は年々増えています。

ただし、そうした情報を人間同士の関係性やその場の空気、これまでの経過まで含めて判断することについては、人間との違いが残っています。

AIは具体策を出すのは得意。でも「実行」まで落とし込むのは別の話

AIは非常に多くの情報を扱えるため、

「不安への対処方法を教えて」
「生活習慣を改善する方法を教えて」

と質問すると、さまざまなアイデアを出してくれます。

これはAIの大きな強みです。

一方で、

「では、あなたの生活の中で実際にどうやるのか」

となると、話は少し変わってきます。

例えば、

「運動する」
「生活リズムを整える」
「少しずつ苦手なことに挑戦してみる」

という一般的な方法を知ることと、それを実際にできることは同じではありません。

人間のカウンセリングでは、

「何時ならできそうですか?」
「今の生活だと、どこに入れられそうですか?」
「毎日は難しそうなので、まず週1回にしますか?」
「それも難しそうなら、もっと簡単にしてみましょう」

と、その人の生活や反応を見ながら具体化していきます。

認知行動療法でも、この実際の生活の中で試してみるという部分は非常に重要です。

場合によっては、カウンセラーと一緒に日常場面へ出て、何らかの練習や行動実験を行うこともあります。

単に方法を知ることと、実際にできるようになることは別なのです。

AIは基本的に「相談されたこと」に応答する

生成AIは基本的に、こちらが入力したことに対して返答する形で利用されます。

もちろん、今後はAI側から働きかける機能もさらに増えていくでしょう。

ただ、人間のカウンセリングでは、

「最近どうですか?」
「前回決めたことはできましたか?」
「あの話はその後どうなりましたか?」

と、カウンセラー側から確認することもあります。

本人が忘れていたこと。

少し避けていること。

以前から続いているテーマ。

そういったことを、継続した関係の中で扱っていくこともカウンセリングの一部です。

AIと人間のカウンセリングは、どちらが優れている?

これは単純にどちらが上、という話ではないと思います。

AIにはAIの強みがあります。

AIへの相談が得意なこと

一方、人間のカウンセラーには別の強みがあります。

人間によるカウンセリングが得意なこと

そもそも両者は、完全に同じサービスではありません。

だからこそ、それぞれの特徴を理解して使い分けることが大切だと思います。

「AIに相談した方が役に立つ」という場面は増えるかもしれない

個人的には、ここはカウンセラー側がかなり真剣に考えなければならない部分だと思っています。

AIは非常に多くの知識を扱えます。

しかも、聞けばすぐに答えてくれます。

心理学について質問しても、一般的な内容であればさまざまな情報を提示してくれます。

そうなると、

一般的な説明をするだけ、知識を伝えるだけのカウンセリングであれば、「AIに聞けば十分」と感じる人が増えていく可能性があります。

これは決してAIが悪いという話ではありません。

むしろ、人間のカウンセラー側に突きつけられている課題だと思います。

ただ話を聞くだけ。

一般論を伝えるだけ。

検索すれば出てくる方法を説明するだけ。

そうした支援であれば、AIとの差は今後さらに小さくなっていくかもしれません。

AI時代だからこそ、人間のカウンセラーに求められること

AIが発展していけば、今回挙げた弱点の多くも今後改善していくでしょう。

だからこそ、人間のカウンセラーには、

「AIには何ができないのか」

を探し続けるだけではなく、

人間だからこそ提供できるカウンセリングの質を高めていくこと

が求められるのだと思います。

知識や技術について継続的に研鑽する。

目の前の人の反応を丁寧に観察する。

その人が実際に行動できるところまで一緒に考える。

必要であれば、一緒に練習する。

そして、人と人との関係だからこそ生まれる安心感や温かさを大切にする。

AIの発展によってカウンセラーが必要なくなるというより、

人間のカウンセラーに求められる水準が上がっていく

と考えた方が近いのかもしれません。

AIへの悩み相談を上手に使うために

AIに悩みを相談することそのものを否定する必要はないと思います。

ちょっとした悩みを言葉にしたいとき。

頭の中を整理したいとき。

自分とは違う視点が欲しいとき。

一般的な心理学の知識や対処方法を知りたいとき。

AIは非常に便利なツールになり得ます。

一方で、生成AIは専門的な心理カウンセリングや医療そのものではありません。

悩みが長期間続いている場合。

生活に大きな支障が出ている場合。

自分一人ではなかなか行動を変えられない場合。

あるいは、安全面を含めて専門的な判断や継続的な支援が必要な場合には、AIだけで完結させるのではなく、人間の専門家へ相談するという選択肢があります。

AIか人間か。

どちらか一方を選ぶというより、

AIの得意な部分と、人間の得意な部分を理解しながら使い分けていく。

今後は、そのような形になっていくのではないでしょうか。

この記事の執筆者・監修者

岡村 優希

代表

岡村優希YUUKI OKAMURA
資格
公認心理師、臨床心理士、認定行動療法士
学会
日本認知療法・認知行動療法学会一般社団法人、日本認知・行動療法学会
広島県出身。 広島の私設相談室や医療機関で、うつ症状・不安症・強迫症などに苦しむ方々に認知行動療法を提供してきました。 その後、滋賀県の認知行動療法専門機関や医療機関で、さまざまな困りごとを抱える方々に対して認知行動療法の支援を行い、長浜市ひきこもり支援員としてひきこもり相談や滋賀県スクールカウンセラーとして児童思春期臨床にも携わりました。そして、2022年より株式会社CBTメンタルサポートの代表取締役として、認知行動療法の専門家養成やカウンセリングルームの運営を行っております。
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